1円玉と今日の文章

机の整理をしていたら、ガチャガチャのカプセルが出てきた。


中には、1円玉が大量に入っていた。


小学生か中学生ぐらいの時に、なんだかふと思い立って集めていたのを思い出す。


確か、マジックか、ゲームのコイン替わりか、そんなものに使おうと思って集めていた。


今では、ポーカーチップを持っているし、ちょっと珍しい外国の硬貨を持っているので、1円玉は必要なくなった。


しかし、ものがなくても代替品を利用して作り出していたのは、我ながらナイス子ども、だ。


今はもう1円玉を1円玉として使う以外に僕の需要はないので、若干思い出に浸って名残惜しい気持ちも抱きつつ、銀行に持って行った。


ATMの前でカプセルを開ける。


万が一落としてしまったら銀行中の人の大注目を浴びてしまうので、慎重に開ける。


通帳を差し込み「預け入れ」を押すと、ATMの硬貨投入口が開く。


これがなかなか細い。


いっぺんには入らない。


5枚ずつぐらいでチャリチャリと入れていく。


一度に100枚以上は入れられないらしい。


多分100枚を超えている気がしたので、半分くらい入れたところで「確定」を押す。


ジャラジャラジャラ…と奥の方で音がして、計上された。


「68円」。


まだ半分ある。


しかし、ATMはまだジャラジャラ言っていて、元の画面に戻らない。


仕方ない。


1つ隣のATMへ。


もう一度同じ作業を繰り返す。


繰り返しながら、自分で自分をなんだか怪しい奴だなと思った。


貯金箱を壊して持ってきた人にしては、大きすぎるもんなあ。


ATMを1つ移動したのとかもなんだか変な人だし。


尋問されたら正直に答えよう。


昔懐かしい1円玉が発掘されたと。


2回目は「55円」だった。


カプセルは、空になった。


しばし空のカプセルを見つめる。


2つ目のATMもジャラジャラタイムに入っていた。




どれくらいの時間をかけて集めたのだろうか。


お釣りが来る度に貯め込んでいたのだろうか。


123枚。


残念ながら全て1円玉なので、金額にしても123円だ。


1倍だなあ。


でも、「ワン・ツー・スリー」という感じでまあいいか、と思った。


「ワン・ツー・スリー」と大股で銀行を出る。


「ワン・ツー・スリー」と呟きながら家に帰る。




カプセルは、家のプラスチックごみに捨てた。


投げずに、そっと置くように捨てた。


思い出は、文章となった。


この辺で擱筆。

写真は「上の句サボるな。」

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