ワイシャツとおばさんとマイバッグ

ワイシャツとスラックスを買いに行った。


しばし物色する。


ふと目をやると、おばさんの店員さんが控え目に斜め前に立っている。


僕も、着丈などよく分からないところもあったので、話しかけてきてくれてもいいですよ顔をしてみた。


しずしずと近づいてくる。


「…どんなお着物お探しですか」


あら好印象。


「アイテム」とか言わずに、「お着物」は好印象。


ワイシャツとスラックスを、と言うと、巻き尺で採寸してくれた。


このサイズがいいですよ、と言われたサイズのコーナーを案内される。


またしばし物色。


すると、おばさんは「これとかオススメですよ」と少し喋りかけてきた。


自分で選ばせてー、と心の中でつぶやく。


なんやかんや3着ぐらい勧められたうちの1着は結局選んでしまった。


勧められる前から自分でいいなと思っていたやつだとしても、勧められたから買ったみたいになってしまう。


なんだか悔しい。


おばさんに「その3着にしましたか、いいチョイスです」みたいな顔をされて恥ずかしくなる。


スラックスも色々試着して、1本良いのがあった。


そういえば試着することの面倒くささは以前に比べて感じなくなったなあと思う。


裾を留めてもらって、そのままおばさんとレジへ。


お会計。


おばさんは、会員カードの作成を勧めてきた。


僕が、言い出しぐらいで「要らないです」と言える性格であればいいのだが、割って入れず最後まで聞いてしまう。


聞いてから「今は大丈夫です」と僕が言うものだから、おばさんは「大丈夫なんかい」という顔になる。


続けて、アプリ会員になることを勧めてくる。


えー。


まだ勧めてくるんかい。


また最後まで聞いて断らなきゃいけないじゃん。


…また最後まで聞いて断った。


勝手に会員になると母親に怒られる的な嘘までついて。


急にグイグイくるなあ。


最初僕が物色していた時に控え目に斜め前に立っていたあの感じはすごく良かったのになあ。


商売とはそういうものか。


お金を払って商品を受け取る。


「袋、有料になってしまうんですけども…」


最初の感じの低姿勢な言い方だった。


おかえりなさい、最初の感じ。


マイバッグあるので大丈夫ですと言って、商品を入れる。


おばさんは、ありがとうございましたとお辞儀をした。


入り口までついてこないのでありがたい。


マイバッグに入れてしまえば「入り口までお持ちします」がなくて済むのだな。


「入り口までお持ちします」の入り口までのストローク、喋ることなさすぎて気まずいもんなあ。


そんなこんなのお買い物。


マイバッグを持とう。


そういう結論。


この辺で擱筆。

写真は「新しいリズムネタか!」

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