うまいこと言う、のすすめ。

暇な時は、うまいこと言ってみよう。


電話をしながら、テレビを見ながら、何か作業をしながら、考えるのである。


うまいこと言うのも、難しい。


もともとダジャレの地位が低くなって久しい世の中なので、「つまんない」と言われてしまう可能性もある中で。


どうやってうまいこと言うか。




だいぶ前の『ワイドナショー』での一コマ。


女子高生コメンテーターみたいな人が喋る番があった。


日本の文化などに関することで、その人はフランスに住んでいたことがあったので、フランスの若者と比較しながら喋る役割だったわけだ。


その人が喋ったのは、結構さらけ出した内容というか、日本に比べてフランスでは風土的にわりと緩い、みたいな内容の話だった気がする。


スタジオの皆さんは、「へえー」「そうなんだ」といった雰囲気になっていた。


そこで、松本さんが、ボソッとその子に向かって「パンは堅いのにね」と言った。


スタジオに、じわっと広がる笑いが起こった。


この、うまいこと言ったプロセスとしては、

その女子高生が喋った内容を聞く(「緩い」的な話)→その女子高生の周辺情報を連想する(今回は「フランス」)→内容と、周辺情報に共通したり関連したりする言葉をひねり出す(「緩い」と「堅い」が対になっている)→最良の形でお届けする

という感じだ。


お届けする形も大切で、この時、「フランスパンは堅いのに、ルールは割と緩いんだね」と言ってしまったら、説明しすぎ感が出てしまう。


最後、点と点を結び付ける作業は受け手の頭の中でやらせるから、じわっと広がる、分かってなんだか笑ってしまう笑いが生まれるのである。


加えて、絶妙のタイミングで、声を大にせずに、不意打ちで言ったことも笑いに繋がるポイントである。


この場合は、死角から急角度のものがボソッと飛んできた、という形でお届けされる方が、「さあ、ボケますよ!」と肩を回して発言するより格段に面白い。


そんな一幕があったのは、いつの回だっただろうか。


回は忘れてしまったが、その一幕はなぜだか覚えている。




人の話や目の前で起こっている物事を聞きながら、見ながらも、何かそれにまつわる面白いことを言おうと、目を光らせるのである。


ウケるかどうかは分からないけれど。


ただ1つ言えるのは、笑いに関してこうやって分析とかをする奴は、面白くないということだ。


この辺で擱筆。

写真は「たたまま。」

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