横断歩道(男Bの視点から)

50mほど先の横断歩道の青信号のゲージみたいなやつが残り1つになった。


渡りたい。


頭より先に身体が反応し、僕は全力でダッシュする。


青信号は点滅し始めた。


横断歩道に差し掛かる。


右折してくる車に申し訳なさを感じながらも、ダッシュする。


反対側から来る自転車は大きくよけていった。


それでも、初動が早かったおかげでなんとか渡りきれた。


いきなりのダッシュに、心臓が驚いて血液を大量に送り出している。


身体の先の方が痺れたような感覚になる。


この短いダッシュでこれだけ息が切れているようでは、ダメだ。


日頃から運動していないといけない。


「頑張ってね」


通りすがりの、カートのようなものを押しているおじいさんにそう声をかけられた。


心の中で「頑張ります」と返事をする。


息が切れていたので、声にはならなかった。

我に返る。

会社に間に合わない。

定刻の15分前には着いていたい。

大きく深呼吸をして、歩き出す。

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