散髪

髪を切った。


髪が伸びてうっとうしいなと思いながら過ごすことは、心身ともに健やかに生活することの妨げになりかねない。


不要不急の外出ではなかったよ、というアピール。


不要不急ではないということは、非不要不急、だな。




美容院では、椅子などを毎回消毒していて、美容師さんも消毒して、僕の番もきた。


もちろんそうするものなのだろうが、僕の前に髪を切ってもらっていた人がもし見ていたら「すごい消毒するやん…」と思うだろうな、と思った。


髪を切る時は、僕はマスクを外さないといけない。


申し訳ないなあと思いながらも、マスクを外す。


「どうされますか」と質問されたので、いつもよりも短い言葉にまとめて要望を言った。


美容師さんは髪を切り始めた。




さてどうしよう。


雑談をしようか。


「大変ですねえ」とか言おうか。


でも、飛沫感染の可能性を上げてしまうのなら、やめとくか。


そもそも僕がウイルスを持っていたとしたら、どこまでしたら移るのだろうか。


面と向かって喋るとかしなければ移らないのかな。


でも、髪の毛に接触はしちゃっているなあ。


そういえば、「濃厚接触」ってなんかなあ。


ボディタッチ感を感じてしまうよなあ。


みんな当たり前に使っているけれど、面白い言葉だ。


反対語は「淡泊接触」だろうか。


みんな最近は淡泊接触。


電話や画面越しに、なんとか接触が途切れないように。




そんなこんなを考えているうちに、美容師さんは髪を切り終わっていた。


結局喋らなかったな。


お会計は、お金の受け渡しをトレーの上で行う仕様になっていた。


日本人の徹底ぶりに驚く。




というわけで、頭さっぱり。


この辺で擱筆。

写真は「なにぱつ?」

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