免許皆伝
免許の更新に行った。
入り口から入る。
当たり前か。
その時の僕は知らなかったが、ここから窓口を転々としながらレベルを上げてクリアを目指すRPGが始まるのであった。
まず、総合案内で更新の旨を伝える。
名前、住所等を書いて、更新の窓口へ。
書類をもらって、それに記入して今度はお金を払う窓口へ。
先払いなんだな。
まあ更新の手続きをやるだけやって逃げられたら困るもんな。
お金を払って書類にサイン的なのをもらい、視力検査のブースへ。
3問答えたのだが、3問目の答えを言った瞬間に「はいオッケーです。お進み下さい」と言われた。
え、最後僕の答え聞いてました?
まあいいけれど。
<判定>と書かれた窓口へ進む。
うわあ。
<判定>だって。
仰々しいな。
おじさんがポンとスタンプを押して「最初の窓口へお進み下さい」と言った。
判定、早いな。
ドラムロールとかは鳴らなかった。
ここで、登録カードなるものの暗証番号を入力する。
なんのことやら分からないが、4桁の番号を入力するらしい。
暗証番号1と暗証番号2がある。
何にしよう。
誕生日?
でもなあ。
手元にさっき生年月日を書いた手続きの書類がある。
これを見られたらすぐバレるな。
4649にしようか。
それもなあ。
誰かに見られたらダサいな。
「よろしくの方ー」とか言われた日には。
目も当てられない。
結局、格好つけて、世界史の年号2つにした。
格好良くもないか。
何の番号にしたか聞かれたら、激動のヨーロッパ史の一部を語ることにしよう。
あれこれ考えていたら後から来た何人かに抜かされていた。
ブースを出ると最初の窓口の前だった。
導線考えられてるー。
設計者に拍手。
先ほどとは違って空欄が全て埋まった書類をもう一度窓口の人に提出して、次のステージに進むことを許可される。
上の階へ案内された。
おお。
本当にステージが上がるんだ。
エスカレーターで階を上がる。
ドラゴンクエストのテーマが頭の中で小さく流れる。
頭の中なのに、なぜか周りに遠慮して小さな音なのは、僕の小心者の現れだ。
待合スペースみたいなところでしばし待って、講習の部屋に入る。
初回講習は2時間。
僕の前に座った人は、上が濃い紫色のタートルネックで、下がベージュのズボンだった。
紅芋タルトが来たのかと思った。
紅芋タルトは免許の更新には来ないか。
行くとしても那覇市の免許センターとかに行くだろうしな。
講習のおじさんは頑張って話を面白くして退屈させないようにしようという心意気が感じられて良かった。
でも紅芋タルトさんは途中寝ていた。
まあ沖縄からはるばるやって来て、疲れてるのは分かるけど。
講習のおじさんがかわいそうだなあと思ってしまう。
なので、椅子に足が当たっちゃった、みたいな感じで紅芋タルトさんを起こそうと試みたら、見事成功した。
そこからちょっとおじさんの喋るトーンが上がった気がしたのはさすがに僕の気のせいだっただろう。
講習を終えて、ついに交付エリアで新しい免許証を受け取る。
穴の開いた古い免許証は、少し切ない。
無事に終了した。
ゲームクリアだ。
またうっすらと頭の中でクリアした感じの音楽を流しながらダンジョンを後にする。
たくさんの人が働いていたなあ。
毎日こんなに人が来るんだなあ。
従業員さんに余計な業務を増やさせないためにも、違反をしないようにしなくては。
この辺で擱筆。
写真は「なんかそれっぽい写真。」
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