コント『社員食堂にて』

A:先輩社員

B:新入社員


   B、座って昼食を食べている。

   A、社食のトレーを持って来る。

A「お疲れー」

B「あ、お疲れ様です」

A「1人?」

B「はい」

A「ここ座っちゃおうかなー」

B「あ、一緒に食べます?」

A「食べようよ」

   B、おにぎりを一口食べる。

A「え、イヤ?」

B「なんでですか?」

A「食べようよ、に対して、レスポンスがなかったからさ(笑)」

B「あ、すいません」

A「全然いいんだけどね」

   A、Bの向かいに座る。

   B、おにぎりを一口食べる。

A「それおにぎり、持ってきたの?」

B「あ、はい」

A「自分で作って?」

B「まあ一応」

A「偉いね」

B「偉いですかね」

A「ちょっと、具、当てさせてよ」

B「あ、はい」

A「えっとね…昆布」

B「違います」

A「梅」

B「違います」

A「おかか」

B「違います」

A「もっと変な具?」

B「変な具…ではないと思います」

A「明太マヨ」

B「違います」

A「降参。正解は?」

B「えっと、白ご飯です」

A「え?(笑)」

B「白米…」

A「何も入ってないってこと?」

B「…はい」

A「あ、そう」

B「はい」

A「え、好きなおにぎりの具って何?」

B「五目のやつですかね」

A「…あ、そう」

   B、おにぎりを一口食べる。

   A、その様子をしばし見る。

A「え、AB型?」

B「はい?」

A「血液型。AB型?」

B「いや…」

A「B型?」

B「いや…」

A「ええ?Oか、じゃあ」

B「違います」

A「うそだあ。A型?」

B「あのー、僕血液型分かんないんですよね。調べたことなくて」

A「…」

   B、おにぎりを一口食べる。

A「いや、パクンじゃなくて」

B「はい」

A「いや、先に言って?」

B「先に?」

A「おにぎりの具は何か当てようとしたじゃん」

B「はい」

A「でも入ってなかったわけじゃん」

B「はい」

A「なら、俺が当てるタイムに突入する前に言ってよ、入ってないんです、って」

B「いや、でも」

A「入ってる前提で答えてたから。バカみたいじゃん俺」

B「そんなことないですけど」

A「血液型も調べてないなら早く言って」

B「はあ」

A「当てられるわけないじゃん。A、B、O、ABで考えてるんだから」

B「でも分かんないんですよ」

A「うん、だからクイズの流れになる前に言ってほしいわけよ」

B「クイズにしてないですけどね」

A「分かった分かった。分かった、じゃあさ、俺が「俺の好きなポケモンキャラクターは何でしょう?」って聞くとすんじゃん」

B「はあ」

A「何て答える?」

B「え…えっと…」

A「まあ何でもいいや。で、じゃあ俺が「オーキド博士でしたー」って言ったら、「はあ?」ってならない?」

B「…?」

A「「それは選択肢に入れてないわ!」ってならない?」

B「…?」

A「え?(笑)」

B「…ポケモンって、何ですかね?」

A「は?」

B「ポケ…ポケモン?」

A「…え、ポケモン知らないの?」

B「すいません。触れてこなかったですね」

A「そんなヤツいねえよ!」

B「いや、でも」

A「いや、そんでこの感じ!」

B「え?」

A「ポケモン知らないっていう選択肢を想定して喋ってないわけこっちは」

B「でも触れてこなかったんですよねえ」

A「いや、触れるでしょ!どっかでちょっとぐらいは絶っっっ対に触れるでしょ」

B「絶対にですか?」

A「うん、もう絶対」

B「帰国子女でもですか?」

A「え、帰国子女なの?」

B「いや、違います」

   A、イラッと顔。

   B、おにぎりを一口食べる。

A「んで、おにぎり食べんの遅いなあ!」

   B、顔を上げる。

A「いや、おにぎりって、もっとパッと食べるものだから」

B「そうなんですか」

   B、まっすぐな目でAを見つめる。

   A、面食らう。腕時計を見て、

A「うん。ちょっと、ごめん。あのー、会議が、あるんだったわ」

B「あ、そうなんですか」

A「ごめん、行くわ」

B「お疲れ様です」

   A、トレーを持って立ち上がる。2、3歩行って止まって、

A「あ」

   A、振り返る。

A「あと地味に、さっき俺が好きなおにぎりの具聞いた時に、「五目のやつですかね」って言ったじゃん。あれ、ちょっと、イラッと、しました…はい」

B「あ、すいません」

A「お疲れ」

   A、立ち去る。

   B、首をかしげる。よく分かっていない。おにぎりを一口食べる。

演劇集団 東京直角街

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