1人遊びのすゝめ

昨日のブログに書いた通り、今日は、家の中で1人でできる、考えて生み出す遊びを紹介しようと思う。



1つ目は、「『abさんご』遊び」。

黒田夏子さんの小説『abさんご』。
2013年に芥川賞を受賞した。
当時黒田さんは75歳で、これは芥川賞の歴代最年長受賞である。
横書きで書かれ、ひらがなを多用し固有名詞や代名詞を使わない小説であったことでも話題となった。

ものの表し方が独特であるのも特徴だ。

小説の中で「傘」は、
「天からふるものをしのぐどうぐ」
と表されている。

「蚊帳」は、
「へやの中のへやのようなやわらかい檻」 
と表されている。

この表現だけでは何を意味するのかつかみきれないところもあるが、文脈の中で出てくれば理解可能だ。

難解だが不思議な気持ちになれる小説である。



ということで、部屋の中にあるものを、まだそんな表現はされたことがないだろう、という表し方をしてみる。

のが、勝手に僕が「『abさんご』遊び」と名付けた遊び。



やってみる。



「カーテン」

「朝になるとくしゅっと隅に追いやられ、夜にはまた広げられる布」


「財布」

「高級であればあるほど、買った後に入れるお金が少なくなってしまう入れ物」


「洗濯機」

「洋服の平衡感覚をかき乱す箱」



…ちょっと黒田さんに影響されているかな。


普段見ているものでも、さて、どうやって普段言わない言い方で表わそうかと考えると、世界が違って見える。

かもしれない。





2つ目は、「実況遊び」。

掃除や洗濯、料理をはじめ、何か作業をする時に1人で遊べる。

例えば僕は最近、ここ数ヶ月でたまった様々な書類を、要るものと要らないものに分ける、という作業をした。

その時に、ただやっても退屈なので、自分で実況をつけるのである。



「これは要らない。これは要る。これも要らない。おっと、これはどうだ?要るようだが、山田、しばし考えています。『結局見返さないだろうな』おーっと、要らないものに分類されたー!あれ、これはなんだ?昔のレシートが挟まっていたようです。マッシュルームとエリンギとシイタケが買われている。これは?キノコのソテーでも作ったんでしょうか。『あったなあそんな時』おーっと、思い出したようです!あれは確か、年始にバター醤油ソテーみたいなのを作ったんでした!翌日にパスタにしたんでした!」



…頭おかしくなったと思われるかな。

でも、独り言は、ボケ防止に効果的らしい。


僕はスポーツが好きなので、スポーツの実況風になってしまうが、評論家の批評風でも、観光ガイド風でも、ぶらり途中下車風でもなんでも良い。

自分の行動に実況をつけてみると、物語の主人公や、テレビの密着を受けている人になった気分になる。

かもしれない。





1人は寂しい。

でも、1人の時にしかできないこともいくらでもある。


苦境に立たされた時、いかにその状況でも楽しめるか、という頭を常に持ち続けていたいなと思う。

そうすれば、意外とただの苦境でもなくなるもので。

未曾有の事態、どうせなら楽しんでやろうというぐらいの心の余裕を。

ここに関しては、批判されたとしても譲れない僕のポリシーだ。

写真は「このパン屋はそう表現するのか。」

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