世界がボケてくるもんだから。
僕は、孤独に弱い。
なので、自分の行動に自分でツッコんだり、道行く人々のちょっと変な言動にこっそりツッコんだりする。
家の机の角に足をぶつけた時には、ネイマールぐらい転がって審判にアピールしてみたりとか(もちろん審判は部屋にいないが)。
誰かが言い間違えた言葉をすぐ繰り返してしまうとか。
冷蔵庫に何が入っているか確認しようと開けてスカスカだったら、「何もないんかい」と言ってしまうとか。
路地で後ろからトラックが来ているのに気づかない人がいたら、「101回目のプロポーズになっちゃうよ」と言ってしまうとか。
挙げていったらキリがない。
考えたことを口に出す時に、人よりそのフィルターの目が粗いのだと思う。
考えるより前に口に出てしまっているのかもしれない。
それにより一緒に歩いている人に眉をひそめられることもある。
聞こえてたらどうするの、と。
でも、出てしまうものは出てしまうのだ。
人を傷つけることは言わないようにしようと思うが、この先も、何も言わないではいられないだろうなと思う。
みんなきっとユーモアが分かってくれるだろうという性善説的な考えでいる。
一番のピンチで、でも結果、大丈夫だった経験がある。
高校生の時、道を歩いていると、向こうから工事現場の作業着みたいなのを着て、パンチパーマで、肩を揺らしながら歩いてくるお兄さんがいた。
おお、ザ・不良みたいな格好だ、と思ってしまい、歩きながらその人を見ていると、これまたベタに「何見てんだよ」と言われた。
え、昔のコントの世界?というぐらいベタだし、そんな格好でそんな肩揺らして歩いてきたら、普通見ちゃうよなあ、と思った。
すると、フィルターの粗い僕の口からは「見ちゃいますけどねえ」と思わず出てしまったのである。
あ、と思ったが、もう口に出してしまった。
さすがにマズいか。
と思ったが、しかし。
ザ・不良は、自分の服装を自分で見た。
そして、少し笑って、「まあ、見るか」と自分の姿を見て納得してくれたのだ。
優しい不良だったのだ。
不良というか優良だったのだ。
…本当の話なんです。
もし血の気の多い人だったら今頃僕の前歯はなかったかもしれないが、その人はそうではなかったのである。
ああ、世界は優しいなと思ってしまった。
優しいから、世界はボケてくるのだ。
世界がそうやってボケてくるから、僕はそれに対して思ったことを声に出してツッコんだり、たまにノったりする。
そうやって、僕の人生に彩りが出る。
だから、大丈夫なんだ、きっと。
だから、今後も口に出してしまうだろう。
少なくとも僕が痛い目に遭うまでは。
皆さん、気を悪くしないで下さい。
勝手にボケだと解釈して、勝手にツッコミを入れているだけなんです。
そうやって世界とコミュニケーションをとって、孤独から逃れているわけでもあります。
なるべく失礼なことは言わないようにするので。
なるべく気の利いたことを言うので。
一緒に笑ってくれると嬉しいです。
写真は「やっぱ今年も咲くんかい!」
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